微生物の魅力

今日は英語の輪読会が夕方あり、M2の西山君が担当しました。

今回発表した論文は、Transport of preproteins by the accessory Sec system requires a specific domain adjacent to the signal peptide.(J Bacteriol. 2010 192(16) 4223–4232)です。


病原性細菌のタンパク質性の病原因子のほとんどは、細胞外に分泌され病原性を発揮します。


このため、病原性細菌のタンパク質の細胞外への分泌機構についての研究が多くの研究者によって進められています。


今回紹介した論文では、連鎖球菌の一種であるStreptococcus gordoniiのタンパク質分泌にかかわるSecシステムの分泌機構を明らかにした論文の紹介でした。


機能性タンパク質の多くは、折りたたまれた構造をとりますが、今回の論文では、折りたたまれる前に分泌されることとそれに関わるタンパク質配列の重要な領域が示されていました。


4年生には多少難しい内容だったかもしれません。


病原菌ではありませんが、乳酸菌にも類似のタンパク質分泌機構は見出されています。

詳細は、本研究室の山本先生が記載しているこちらの専門書の「タンパク質分泌機構」の項目を参照してください。







ところで10月11日付の新聞に、46万年前の地層から生きた微生物を大量に採取することに成功したとの記事が掲載されていました。




採取された微生物の顕微鏡写真(東奥日報記事)


十和田キャンパスからほど近い青森県の八戸沖ということでちょっと嬉しくなりましたが、水深1200mの海底から採取したということですから、大きな驚きです。



その技術力にも感心しますが、採取場所が通常の生物が生存していないよう場所から分離してきたという点に大変大きな興味がわきました。


私の専門ではないのですが、これまでも海底から新規微生物が分離されてきたという記事を目にしたことはあります。



ちょっと古い新聞記事です(2004年高知新聞



ですから、今回分離されてきた微生物から、どれほどの新規微生物が見つかるか注目したいと思います。



新規微生物が見出されれば、新しい機能を持つタンパク質遺伝子なども見出される可能性があります。


それらの遺伝子の中には、環境・エネルギー問題、食糧問題などを解決してくれるような遺伝子も含まれているかもしれません。


今後の研究成果を注視したいと思います。


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