総説が公表されました

久々の更新となります。
この間,総説が3報公開されました。

1)西山啓太,向井孝夫 Lactobacillus属やBifidobacterium属の宿主腸粘膜への付着性に関わるアドヘシンとその分子機構,日本乳酸菌学会誌,27,176-186(2016) (J-Stageにアップされたら掲載します)

2)Keita Nishiyama, Makoto Sugiyama, Takao Mukai, Adhesion properties of lactic acid bacteria on intestinal mucin. Microorganisms. 4, 34;doi:10.3390/microorganisms4030034 (2016) (Pub Med)

3)向井孝夫,西山啓太 プロバイオティクスに関する最近の研究動向〜乳酸菌やビフィズス菌のムチンと相互作用〜,乳業技術,65, 23-40, 2015


いずれの総説も,乳酸菌やビフィズス菌の腸粘膜への付着機構やムチンとの相互作用に関して記したもので,それぞれポイントを絞って記載しました。
 乳酸菌学会誌の総説では,Lactobacillusで見出されているMucus-binding proteinや線毛の付着の役割について詳細に記しました。
 Microorganismの内容は,本学部獣医解剖学研究室の杉山先生に著者に加わっていただき,消化管の形態学的・組織学的観点からの知見を加え,厚みのある総説になったと思います。
 3報目の乳業技術の総説には,ビフィズス菌の栄養素としてのムチンの役割にも言及しています。


ところで総説の著者のひとりで同窓生の西山先生(北里大学薬学部助教)が先日,研究打ち合わせのために研究室を訪ねてきてくれました。
研究の話に加え,夜の懇親会には,今年退職された事務員の矢吹さんを囲んでなつかしい話に花を咲かせました。


Nature系のオンラインジャーナルに論文が掲載されました

私たちの研究室では,乳酸菌やビフィズス菌のプロバイオティクス効果や生体内との相互作用の分子メカニズムを明らかにすることを研究課題としてます。

また,最近では身近な食べ物が腸内細菌叢を介して健康に及ぼす効果を調べる研究も手掛けています。

今回の論文は,青森県の代表的な農産物であるリンゴに含まれる主要なポリフェノールが腸内細菌叢や肥満抑制に及ぼす効果を調べ,その結果が,Nature系のオンラインジャーナル「Scientific Reports}誌に論文が掲載されました。

リンゴの主要なポリフェノールであるプロシアニジンは,カテキンがいくつか結合した構造を持ち,強い抗酸化作用を持つなどいくつもの生理作用を持つことは報告されてきました。

今回,我々はカテキンの重合度の違い,具体的には4量体以下と5量体以上のプロシアニジン画分を高脂肪食を給餌したマウスに投与し肥満抑制効果と腸内細菌叢の変化などを調べました。

その結果,5量体以上の高分子プロシアニジン(PP)画分を摂取したマウスでは,体重の増加や炎症が抑制される傾向がみられました。この要因として,肥満や炎症を抑制する腸内細菌叢型に変化したことや腸内有害物質が低減したことなどが考えられました。

本研究は,農研機構果樹研究所の庄司先生のグループとの共同研究で実施されました。研究分野の異なるグループで研究を進めることで大きな成果が得られたことを実感しています。

集合写真と新3年生歓迎コンパ

今年の4年生の就職活動は6月を過ぎてから本格的になりましたが,民間企業を希望している学生に関してはほぼ進路が決まってきました。
このような状況で,なかなか全員が研究室に集まることは少なかったので,今年の研究室集合写真も8月に入ってからようやく撮影することができました。





また,3年生の研究室の配属が決まりました。
今年は15名が配属されました。

みなさん乳酸菌や腸内細菌あるいは病原菌の研究に関心を持って,私たちの研究室を希望してくれたようです。

先日,歓迎会として4年生が主催してBBQを盛大に行いました。




総説が公開されました

昨年,私たちの研究室で博士課程を修了した西山啓太先生(現北里大学薬学部 助教)と向井先生の共著による総説「乳酸菌の腸粘膜への定着機構」が「化学と生物」に公開されました。

西山先生が博士論文にまとめた研究成果を中心に,関連する最新の情報を盛り込んだ内容です。

図の作成にも力を入れたようです(https://katosei.jsbba.or.jp/index.php?aid=614)。

日本乳酸菌学会

7月9日と10日の2日間にわたり,北里大学薬学部コンベンションホールにおいて日本乳酸菌学会が開催されました。

今回の大会は,向井先生が大会実行委員長を,山本先生が事務局長を務めました。また2015年に私たちの研究室で博士課程を修了し,現薬学部助教である西山先生も大会委員として活躍されました。

薬学部微生物学研究室の岡田信彦教授をはじめ研究室の先生方にも大会委員としてサポートしていただきました。あらためて御礼申し上げます。

大会は,あいにくの空模様の中で始まりましたが,昨年より大幅に増加し260名をこえる参加者にお越しいだき無事終えることがでました。

大会初日には、北里大学名誉教授であります高橋洋子先生により,「微生物の力」と題して特別講演を実施しました。高橋洋子先生は,ノーベル生理学・医学賞を受賞された北里大学特別栄誉教授 大村 智先生を中心としたに微生物由来生理活性物質の探索チームの中心的な役割を担ってきた先生であり,大変興味深きお話を聞くことができました。

また、33題の一般講演を行うとともに21題の若手優秀発表賞への応募があり,年齢,職位などに関係なく活発な議論がなされたと感じております。また、情報交換会にも多くの方が参加され,活発な議論がなされました。







向井教授から高橋教授へ花束贈呈




鏡谷君が若手優秀発表賞を受賞

7月9日,10日に北里大学薬学部で開催された日本乳酸菌学会において,私たちの研究室の修士1年生の鏡谷竹生君が,若手優秀発表賞を受賞しました。

ヒト便由来Bifidobacterium 線毛のムチンへの付着性に及ぼす影響を調べた実験結果を発表し、その内容が評価されたものです。


大変喜ばしいことに,研究室からは,3年連続の若手発表賞受賞となりました。

これを励みに,今後も精力的に実験をすすめてくれることを期待しています。







日本乳酸菌学会会長である九州大学園元謙二教授から受賞される鏡谷君