Nature系のオンラインジャーナルに論文が掲載されました

私たちの研究室では,乳酸菌やビフィズス菌のプロバイオティクス効果や生体内との相互作用の分子メカニズムを明らかにすることを研究課題としてます。

また,最近では身近な食べ物が腸内細菌叢を介して健康に及ぼす効果を調べる研究も手掛けています。

今回の論文は,青森県の代表的な農産物であるリンゴに含まれる主要なポリフェノールが腸内細菌叢や肥満抑制に及ぼす効果を調べ,その結果が,Nature系のオンラインジャーナル「Scientific Reports}誌に論文が掲載されました。

リンゴの主要なポリフェノールであるプロシアニジンは,カテキンがいくつか結合した構造を持ち,強い抗酸化作用を持つなどいくつもの生理作用を持つことは報告されてきました。

今回,我々はカテキンの重合度の違い,具体的には4量体以下と5量体以上のプロシアニジン画分を高脂肪食を給餌したマウスに投与し肥満抑制効果と腸内細菌叢の変化などを調べました。

その結果,5量体以上の高分子プロシアニジン(PP)画分を摂取したマウスでは,体重の増加や炎症が抑制される傾向がみられました。この要因として,肥満や炎症を抑制する腸内細菌叢型に変化したことや腸内有害物質が低減したことなどが考えられました。

本研究は,農研機構果樹研究所の庄司先生のグループとの共同研究で実施されました。研究分野の異なるグループで研究を進めることで大きな成果が得られたことを実感しています。