論文ゼミを行いました。(3)

研究室の論文ゼミを行いました。

第三回の担当は大学院1年の原くんでした。

(p)ppGpp controls bacterial persistence by stochastic induction of toxin-antitoxin activity.

Cell. 2013 Aug 29;154(5):1140-50.

細菌を抗生物質に暴露した際、大部分の細菌は死滅しますが、少数の細菌は生存することがあります。
筆者らは、盛んに増殖する大腸菌の中に稀に増殖速度が遅い菌が出現し、この増殖が遅い菌が抗生物質に耐性を示すことを見出しました。さらに、この増殖の抑制は、緊縮応答のシグナル分子である(p)ppGppが細胞内に蓄積し、それによってトキシン-アンチトキシン系のトキシンが活性化されることで引き起こされることを報告しています。

遺伝的性質が同じ細菌の集団の中で、なぜ一部の菌が一過的に抗生物質に耐性を示すのかこれまでは不明でしたが、本文献により、(p)ppGppの量には細胞間でばらつきがあり、一部の細胞で偶然(p)ppGppが蓄積されることが、増殖の抑制と抗生物質耐性能の向上に寄与していることが証明されました。