今週のゼミ

今回の研究室ゼミでは、細菌の細胞分裂形態に関する論文が紹介されました。

"Excess Membrane Synthesis Drives a Primitive Mode of Cell Proliferation"

Romain Mercier et al.
Cell 152, 997-1007m February 28, 2013


細胞壁は細胞形態や分裂、増殖を維持するために必要不可欠な存在ですが、

細菌が細胞壁を失った場合でも、

L型と呼ばれる細胞形態に変化することで、細菌は細胞分裂や増殖を可能にしています。

通常、細菌の細胞分裂にはFtsZシステムが働いており、

非常に規則正しい二分裂がおこなわれています。

一方、L型の細菌は、このようなFtsZシステムを必要とせず、

不規則な形態変化に依存したランダムな分裂が確認されています。

しかし、これらに関する詳細な分子メカニズムは解明されていませんでした。

(本論文のGraphical Abstractから引用)

本論文で、L型の分裂および増殖は

細胞膜表面積の増大でのみ引き起こされることが明らかとなりました。

この結果から、細胞壁が存在する以前の原始的な細菌において

L型と同じような分裂や増殖をおこなっていた可能性が考えられ、

原始生命の謎を解き明かせる知見であると期待されています。