卒論スタートアップゼミ

夏休みを目前に控え、4年生のゼミもそろそろ一回りします。

今回は4年生の実験報告です。


テーマは、乳酸菌のムチンへの付着性とそのメカニズムを明らかにしようというものです。






哺乳動物にみられるムチンは粘膜の表面を覆う粘液を指し、粘膜の保護に重要な役割を発揮しているものと考えられています。


似たような粘液は、オクラや長いも(十和田近辺は産地です)などでも見られますが、成分は哺乳動物で見られるものとは全く異なります。


動物の口腔、消化器官や鼻腔や目の粘膜でみられるムチンはすべて類似の構造をしています。






ムチンは非常に高分子量(数十万の分子がさらに結合してできている)で、また、糖が複雑に結合していることから、取り扱いが難しく生体内で見出される他の物質より研究が遅れている状況にありました。


そのような状況ですが、少しずつ研究は進み、ムチンを構成するタンパク質遺伝子は18種類ほど存在することが示されてきました。


腸の粘膜もムチンで覆われていますが、腸内の微生物の中にはムチンに付着し、生息の場を得ているものがいることがわかってきました。


そのような微生物の一つとして乳酸菌が挙げられます。


乳酸菌のような有用微生物が、ムチンに付着し腸内にとどまることで、様々な有用な効果を発揮することが期待されいます。


私たちの研究室では、どんな有用な効果があるかを明らかにすることを目指して研究に取り組んでいる状況です。


その第一ステップとして、発表者であるA君はムチンを動物腸内(家畜)から精製して、よく付着する乳酸菌を見出すことを目指しています。


複雑な構造をしているムチンを腸から精製することは非常に難しいのですが、精製にも成功したとのことでした。


A君の発表自体は非常に分かりやすく、私の講義の代わりを任せてもよいくらいの感じでした。


私の質問にも的確に答えてくれました。



大学院生のツッコミにも対応していました。



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